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by angrofille
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パッション

ゴダール82年の作品「パッション」。

「こんな光ではだめだ」と完璧な光を要求し、莫大な予算を浪費し、
それでも何も撮れない監督の物語。
しかし画面の上では完璧な光が撮られている。
レンブラントの絵を再現するという試みができるのは
この人だけだ。しかも完璧だ。

人生のなかで世界があまりにも美しく見える瞬間がある。
それはただの野山だったり、道ばたの花だったりする。
そんな瞬間に私達はカメラを持っていればシャッターを押すが、
その美しい瞬間を収めきれることはほぼ不可能に等しい。

ゴダールの映像にはそうした何でもないようなのに
全てが完璧に見える瞬間が観念で見える通りに写っていることがある。
ラウル・クタールの素晴らしいカメラワークもあると思うが、
まるで奇跡のような瞬間がどの作品にもある。
だから私はゴダールの作品を見続けるのだろう。

「パッション」は音楽も素晴らしい。ちょっと出てくるだけの
女性たちもエロティックで美しい。特に工場長の唖の娘!
そして彼女たちのファッションもたいへん素敵だ。車の中で
ケンカするカップル+女の三人の服はトリコロール。繰り返し
出てくる鮮やかな赤。これでわたしは物欲が戻ってきた。

この作品の中で「映画の掟は何?」と聞かれて「物語ることよ」という答えを
否定し、「最小限の努力と最大限の災難」と語られる。
映画に掟はないのだから、物語ることをしないゴダールの作品は
難解で筋がさっぱりわからない不出来な映画では決してなくて、
鑑賞の視点を変えて見るべきものなのだと思う。
☆5つ
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by angrofille | 2005-12-10 03:03 | 映画