片足のカラス
2005年 12月 11日
片足のカラスを見たんだ。
それは晩秋のイギリス、マンチェスターの下あたりにある湖水地方でのこと。
ウィンダミアという小さな町の駅で、バーミンガムへ行くコーチを待っていた。
夏は観光客でごったがえすこの小さな山あいの町も、シーズンオフの今は
ほんの少しの観光客とほんの少しの地元民しかいない。
外はまだ明るくなり始めたばかりで、すごく寒くて、
その上しとしとと霧みたいな雨が降っていた。
バスはやっぱり時間に遅れていて、まだ来ない。
さっきバスのチケットをB&Bに忘れて、走って取りに帰ったものだから、
わたしは朝から疲れていた。
そのとき駅のベンチの前に、小さなカラスが降り立った。
体長20センチくらいの、すごく小さなカラスだ。こどもかもしれない。
どこにでもいる普通のカラスなのだけど、何かがおかしい。
じっと見つめているのだけど、さっきから片足でずっと立っているのだ。
歩くときも片足でぴょんぴょん飛んでいる。
片足を隠しているのかと思って、他のカラスを見てみたが、みな両足で
ぴょこぴょこ歩いている。足を隠すにしても、上に持ち上げているだけで
こんなに完全に見えないことはない。
このカラスには片足がないのだ。
そう気づいたとき、背中に電気が走ったようだった。
片足のカラスなんてあまりにもダンディだ。
私になにか教えるためにここに降り立ったのかもしれない。
この子をわたしのマスコットキャラクターにしようとその時決めた。
その日乗ったバスで、わたしはまた素敵なカラスに出会うのだが、
それはまた別の話。
この厳しいイギリスの冬を、この子は片足で乗り切れるだろうか?
獲物をつかまえたり、木に捕まって寝るとき、つらい思いをしていないだろうか?
そのへんに生えてた木でも石鹸の看板でもケバブ屋のおっさんでも
何でもいい。
なにか思いを馳せるものがあるということは幸せなことだ。
そういうものをこころにしまいこむために、わたしたちは
きっと旅に出るのだ。
それは晩秋のイギリス、マンチェスターの下あたりにある湖水地方でのこと。
ウィンダミアという小さな町の駅で、バーミンガムへ行くコーチを待っていた。
夏は観光客でごったがえすこの小さな山あいの町も、シーズンオフの今は
ほんの少しの観光客とほんの少しの地元民しかいない。
外はまだ明るくなり始めたばかりで、すごく寒くて、
その上しとしとと霧みたいな雨が降っていた。
バスはやっぱり時間に遅れていて、まだ来ない。
さっきバスのチケットをB&Bに忘れて、走って取りに帰ったものだから、
わたしは朝から疲れていた。
そのとき駅のベンチの前に、小さなカラスが降り立った。
体長20センチくらいの、すごく小さなカラスだ。こどもかもしれない。
どこにでもいる普通のカラスなのだけど、何かがおかしい。
じっと見つめているのだけど、さっきから片足でずっと立っているのだ。
歩くときも片足でぴょんぴょん飛んでいる。
片足を隠しているのかと思って、他のカラスを見てみたが、みな両足で
ぴょこぴょこ歩いている。足を隠すにしても、上に持ち上げているだけで
こんなに完全に見えないことはない。
このカラスには片足がないのだ。
そう気づいたとき、背中に電気が走ったようだった。
片足のカラスなんてあまりにもダンディだ。
私になにか教えるためにここに降り立ったのかもしれない。
この子をわたしのマスコットキャラクターにしようとその時決めた。
その日乗ったバスで、わたしはまた素敵なカラスに出会うのだが、
それはまた別の話。
この厳しいイギリスの冬を、この子は片足で乗り切れるだろうか?
獲物をつかまえたり、木に捕まって寝るとき、つらい思いをしていないだろうか?
そのへんに生えてた木でも石鹸の看板でもケバブ屋のおっさんでも
何でもいい。
なにか思いを馳せるものがあるということは幸せなことだ。
そういうものをこころにしまいこむために、わたしたちは
きっと旅に出るのだ。
by angrofille
| 2005-12-11 19:07