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by angrofille
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エレファント(2003年 アメリカ)

ELEPHANT

むかしコロンバイン高校で実際にあった生徒による銃乱射事件の
その日を生徒たちの視点から淡々と描くドラマ。ガスヴァンサントは
この作品で2003年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールと監督賞
を受賞した。

この映画はテレビサイズで作られているそうですが、あんまり綺麗な映像で
CGなんじゃないかと思った(現代っ子)。目の保養になるよ、、。

生徒たちが学校の廊下をひたすら歩く場面が多くて、画面の構図、光、
すべてがものすごく美しい。あまりに美しい映像のなかで、ほぼ素人の
出演者たちが写真を撮ったりダサい女の子がいじめられたりという
普通のハイスクール生活を過ごす前半は一見非常に穏やかで何も起こっていない
ように見える。しかしアル中の父と車を運転したり、女の子たちが「友達と彼氏と
どっちが大事なの?」とかおしゃべりしている間に見えないところで誰かが通販で買った
銃で、テレビゲームをするように人を殺しまくろうとしている。

それらはどちらも現実で、象があまりに大きくてカメラに写しきれないみたいに、
ガスヴァンサントはただフラグメンツを並べていく。「普通の生活」を送る
高校生たち、ブッフェでランチを食べたあとにトイレでみんなで吐く女の子、
「なぜ炭酸水を飲む人と飲まない人がいるのか?」という議論に花を咲かせる
知的なグループたち、彼らの時間を追ううちに場面はたまに交差して、
まるで象の全身をいろんな角度からくまなく写そうとしているように見える。

そして起こる惨劇。突然日常に入り込んできた想像もできない惨事に普通の生活
を送っていた彼らは咄嗟に反応することができず、冗談みたいに人が殺されていく。
殺している方の彼らもまるで冗談だと思っているかのようだ。
また映像が美しすぎるのでリアルなのに現実感が希薄なのが不思議。
何もかもがリアルすぎるので、何もかもがたちの悪い冗談みたいに思える。
きっとその場にいても、ゲームオーバーになったらみんな元通りに生き返るような
気がするのかもしれない。それがテレビゲームのせいだとかいじめのせいだとか
ナチスのせいだとか銃のせいだとかそんなことはわからない。
ただわかるのはそこに得体のしれない巨大でグロテスクなにかがあったということだ。

☆4つ
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by angrofille | 2006-02-11 01:19 | 映画