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by angrofille
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アデュー フィリピーヌ(1962年 フランス/イタリア)

日本では劇場公開もされず、長い間ビデオにもならなかったまぼろしの
ヌーヴェルバーグの傑作「アデュー・フィリピーヌ」をやっと見た!!
ヌーヴェル・ヴァーグの原点と評されるこの作品は、ハスミン言うところの
「映画的な甘い痛み」にあふれていて、見るひとすべてが絶賛せざるをえない
驚くべき傑作でありました。

ストーリーらしいストーリーは非常にゆるいもので、
パリのテレビ局で働く主人公がテレビ番組をえさにナンパしたなかよしの女の子
ふたりぐみに追いかけられてシチリアのバカンスを一緒に過ごすんだけど、
ものすごくなかよしのふたりの女の子は互いに主人公を奪い合うゲームを勝手に
してて、アルジェリア戦争に徴兵される主人公はいまいち乗り切れないでいるまま
徴兵される日が来てしまい、おんなのこたちはなにもできずにただ主人公を見送る
だけだった、、
というおはなし。

登場人物は監督のジャック・ロジェが路上で声をかけたド素人たち。おなみだ頂戴
の完璧な演技などできるはずもないのだが、だからこそまるで自分の人生のいちば
ん美しいシーンを見ているかのように生々しく瑞々しい映画になれたわけです。

冒頭に言った「映画的な甘い痛み」の瞬間は彼らによって何度も訪れます。
具体的にあげると夜ともだちとお泊まり会をするなかよしふたりぐみの女の子のシーン。
トレイにアーモンドとあたたかい飲み物をのせて、ベッドの上でおしゃべりするパジャマ姿の
二人。そのうちふたごのアーモンドを見つけ、朝めざめて先に挨拶したほうが勝ち
という「フィリピーヌあそび」をします。
かわいいベッドに二人で寝るおんなのこ。朝になり朝日が入ると二人は同時に目覚め、
顔をみあわせていっせいに「ボンジュール・フィリピーヌ!」と叫び、笑い転げるのです。
こんなに美しい瞬間が映画として再現できるもんかともう号泣。

これはフランスの風習で、アーモンドの殻のなかに双子のアーモンドが入っていた場合、
見つけた人は一緒にいた人にアーモンドの片割れを渡して一緒に食べなくてはならない。
で、次にお互いがあったとき「ボンジュール・フィリピーヌ!」と先にあいさつしたほうが幸せ
になれる?というすてきな言い伝えがあるそうで、この映画のタイトルはそれをもじって
いるそうです。

そしてクライマックスの主人公が出兵するのを見送るふたり。主人公をめぐって喧嘩
したりした二人ですが、ちゃんと二人そろって彼を見送りにきました。桟橋で主人公に
うつむきながら別れを告げる二人の顔のなんて寂しそうなこと!こんな寂しそうな人の
顔みたことない。その姿を見た瞬間に、昔の自分が勝手にフラッシュバック、、
そこにある映像が凄いというか、見るひとの感情を勝手に引き出すこの感じ。凄いよな〜
とただうっとり。

ヌーヴェルヴァーグの目指すものが嘘くさくてわざとらしいまがいものを排除して、いま
ここにいる誰もの人生を重ね合わせることができる映画というものだったとしたら、この
作品はまさにヌーヴェルヴァーグの理想を具現化したものだと言えるのではないでしょうか。

@南青山 kitcat pub.事務所(勝手に設立)にて

蛇足ですが、美脚でおなじみのサトエリさんも大好きだそうです。
謎ポエム「気遣い喫茶」は伊達じゃないな、、!!

☆4.5つ
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by angrofille | 2006-04-26 23:05 | 映画