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by angrofille
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リトル・チルドレン(2006,アメリカ)

カエルが降らないマグノリア

リトル・チルドレンは、とても良く出来た群像劇だ。
まるでカエルが降らないマグノリアのようだった。
本年度のアカデミー賞で主演女優賞、助演男優賞、脚色賞にノミネートされたが、
惜しくも受賞は逃した。

舞台はアメリカの郊外で、同じ街で起こる3つのつながりを軸に描かれる。

一つ目は退屈な主婦のサラ(ケイト・ウィンスレット)と司法試験に落ち続ける主夫の
ブラッド(パトリック・ウィルソン)との不倫関係。
二つ目は釈放されたペドフィリアのロニー(ジャッキー・アール・ヘイリー)と彼を
かばう年老いた母親。
三つ目はロニーを街から追放しようと執拗に迫る元警官のラリー(ノアー・エメリッ
ヒ)。

皆、自分の不満から逃げるように何かにのめりこんでいる。


サラは郊外の保守的で閉鎖された暮らしに漠然とした不満を抱き、ブラッドに近づく。

ブラッドもまた司法試験のプレッシャーと妻への劣等感から逃げようとしている。

サラの夫も彼女の知らないところでインターネットのポルノサイトにのめり込んでいる。

小さい町で性犯罪者という看板を背負うロニー。町の誰もが彼を化け物だと思っている。

警官時代に起こった事件で大きなトラウマをロニーにぶつけるラリー。

どの登場人物にも、病めるアメリカの顔の側面が現れている。アメリカで原作が大ベス
トセラーというのも、読者が自分の断片をこの作品のどこかに感じたからだろう。
皆ぬるい地獄で平気なふりをしてそれなりに生きている。「リトル・チルドレン」とは
子供のようにだだをこねる大人たちの物語だ。

冒頭で「カエルが降らない」と述べたとおり、ラストに「マグノリア」のようなカタル
シスはない。だが、皆最初にいた地点から少しだけ前に進んでいる。

見る人だれもの断片を、きっとこの作品のどこかに見つけられるはずだ。

わたしのお気に入りのシーンは彼がロニーが公共のプールに入るところ。彼が入ると
プールの客全員がホラー映画のように悲鳴を上げて逃げ惑い、ロニーは一人プールの中
に取り残される。この町で彼がどんな立場にいるか一瞬でわかるとても良いシーンだ。

☆3.7つ
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by angrofille | 2007-08-27 23:26 | 映画