Diane Arbus Revelations
2005年 10月 29日
ビクトリア&アルバートで、写
真家ダイアンアーバスの大回顧展(たしか
ヨーロッパで初)が行われているので行ってきました。
図録(ダイアンアーバス「リベレーション」)が非常にすばらしいので
見てみて下さい。
その図録にも収録されているのですが、
彼女が見た夢のメモがありました。
彼女の撮った写真は時に目を背けたくなるくらい
生々しく痛々しく、強烈に神々しい。
「私たちはこんなに病んでいない」と、
彼女の撮った写真を非常に嫌う被写体もいたそうです。
彼女の見たのは、美しく燃え上がるホテルのなかで
写真が撮れない夢。
とても美しい文章で驚きました。
優れた写真家はみな文章が上手なのはなんでだろう。
夢の中で彼女は写真が撮れなくてものすごく焦っています。
最期は自らの命を絶ってしまった彼女ですが、
もしかして、彼女は常に強烈なものに圧倒されて写真が撮れない
ことに焦っていたのでしょうか?
だとしたら、さぞかし辛かったろうなと思います。
なんだか「知ってるつもり」みたいになってきました。
以下、彼女の文章を日本語に訳したつもりですが、たぶんかなり意訳です。
***************
私は燃え上がるホテルにいた。ものすごく大きくて、真っ白に飾られたゴージャスなホテル。
でも炎はすごくゆっくり燃えていたので、まだみんなホテルの中に自由に出たり入ったりできた。
実際の炎は見えないのだけど、煙が灯りのまわりに分厚くかかっていて、
それがほんとうにきれいだった。
私はすごく急いでいた。そして、私は写真が撮りたかった。ものすごい写真が。
私は自分の部屋に行って、どうしても助け出さなければいけないものを探したのだけど、
どこにあるのかわからなかった。
私のおばあちゃんも近くにいた。たぶん隣の部屋に。
どうしても助けなければいけないものが何なのか、何を探しているのか私にはわからない。
ホテルはもうじき崩壊してしまう。
私は何をすればいい?
写真を撮るとしても、きっとフィルムすらない。もしくはカメラがみつからない。
私はいつも妨害される。
誰もが忙しそうで、その辺をうろついていたけど、それはすごくもの静かで
なんだかゆっくりだった。
エレベーターは金色だった。
まるで沈んでいくタイタニックのよう、、、
私は輝きに包まれていたけど、写真が撮れないことがすごく心配で、
とても混乱していた。
私の人生のすべてがそこにあった。
それはある種の平穏。でも、子どもを出産するときみたいに、
痛々しさがエクスタシーを妨害していた。
世話係が戻るようにあなたに頼む。彼らはまだ準備ができていないのだ。
私は輝きにほぼ圧倒されていたけれど、それ自身に妨害されてもいた。
天井にキューピッドが彫られていた。
たぶん私は写真が撮れないだろう。もし私がカメラと私自身を助け出せるとしても。
たくさんの人がいたのに、私はおかしなくらい一人ぼっちだった。
彼らはまだ姿を現さない。
誰も私にどうすればいいのか教えてくれない。
私は彼らを無視しないように心配していた。
もしくは私が考える何かを彼らにしたのではないかが心配だった。
それはスローモーションの非常事態だった。
私は台風の目の中にいた。
真家ダイアンアーバスの大回顧展(たしか
ヨーロッパで初)が行われているので行ってきました。
図録(ダイアンアーバス「リベレーション」)が非常にすばらしいので
見てみて下さい。
その図録にも収録されているのですが、
彼女が見た夢のメモがありました。
彼女の撮った写真は時に目を背けたくなるくらい
生々しく痛々しく、強烈に神々しい。
「私たちはこんなに病んでいない」と、
彼女の撮った写真を非常に嫌う被写体もいたそうです。
彼女の見たのは、美しく燃え上がるホテルのなかで
写真が撮れない夢。
とても美しい文章で驚きました。
優れた写真家はみな文章が上手なのはなんでだろう。
夢の中で彼女は写真が撮れなくてものすごく焦っています。
最期は自らの命を絶ってしまった彼女ですが、
もしかして、彼女は常に強烈なものに圧倒されて写真が撮れない
ことに焦っていたのでしょうか?
だとしたら、さぞかし辛かったろうなと思います。
なんだか「知ってるつもり」みたいになってきました。
以下、彼女の文章を日本語に訳したつもりですが、たぶんかなり意訳です。
***************
私は燃え上がるホテルにいた。ものすごく大きくて、真っ白に飾られたゴージャスなホテル。
でも炎はすごくゆっくり燃えていたので、まだみんなホテルの中に自由に出たり入ったりできた。
実際の炎は見えないのだけど、煙が灯りのまわりに分厚くかかっていて、
それがほんとうにきれいだった。
私はすごく急いでいた。そして、私は写真が撮りたかった。ものすごい写真が。
私は自分の部屋に行って、どうしても助け出さなければいけないものを探したのだけど、
どこにあるのかわからなかった。
私のおばあちゃんも近くにいた。たぶん隣の部屋に。
どうしても助けなければいけないものが何なのか、何を探しているのか私にはわからない。
ホテルはもうじき崩壊してしまう。
私は何をすればいい?
写真を撮るとしても、きっとフィルムすらない。もしくはカメラがみつからない。
私はいつも妨害される。
誰もが忙しそうで、その辺をうろついていたけど、それはすごくもの静かで
なんだかゆっくりだった。
エレベーターは金色だった。
まるで沈んでいくタイタニックのよう、、、
私は輝きに包まれていたけど、写真が撮れないことがすごく心配で、
とても混乱していた。
私の人生のすべてがそこにあった。
それはある種の平穏。でも、子どもを出産するときみたいに、
痛々しさがエクスタシーを妨害していた。
世話係が戻るようにあなたに頼む。彼らはまだ準備ができていないのだ。
私は輝きにほぼ圧倒されていたけれど、それ自身に妨害されてもいた。
天井にキューピッドが彫られていた。
たぶん私は写真が撮れないだろう。もし私がカメラと私自身を助け出せるとしても。
たくさんの人がいたのに、私はおかしなくらい一人ぼっちだった。
彼らはまだ姿を現さない。
誰も私にどうすればいいのか教えてくれない。
私は彼らを無視しないように心配していた。
もしくは私が考える何かを彼らにしたのではないかが心配だった。
それはスローモーションの非常事態だった。
私は台風の目の中にいた。
by angrofille
| 2005-10-29 00:02