パリ、ジュテーム(2006年 フランス/ドイツ)
2007年 03月 11日
「アメリ」のプロデューサーによる、ガス・ヴァン・サント、コーエン兄弟、
オリヴィエ・アサイヤスなど名だたる監督たちがパリを舞台に一人5分で
「愛」をテーマにした作品を撮るという超豪華なオムニバス!
それぞれのストーリー等はこちらに詳しく載っています
なかでもわたしのお気に入りは次の4作品。
ガス・ヴァン・サント「マレ地区」
最近なにを撮ってもすごいガス・ヴァン・サントはやっぱりすごかった。
パリでもっともゲイが多いというマレ地区のギャラリーに来たアメリカ人の通訳がギャラリーで
働く男の子をひたすら口説いている。相手の男の子はすごく無口でミステリアス。ますます
ヒートアップした通訳の子は電話番号を渡して帰るけど、通じているんだかいないんだか、、。
「ラストデイズ」でも描かれた、人と人とのコミュニケーションが断絶されている感じ、とんでも
なく美しいカメラワーク、鮮烈なラストシーンでこれまたしぬほどいい作品!!ガス・ヴァン・サン
トはやっぱりスゲー!!
ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン「チュイルリー」
コーエン兄弟も見事としかいいようがない。
メトロのチュイルリー駅に座るアメリカ人観光客のスティーブ・ブシェミ。ホームの向かいで
チューチューしてる熱いカップルと目が合ったばっかりにトラブルに巻き込まれる。ずぶずぶと
理不尽な状況に巻き込まれ系というのはコーエン兄弟の最も得意とするところだと個人的に思
うのだが、それを5分でやってのけるのが凄い。
シルヴァン・ショメ 「エッフェル塔」
監督初の実写によるもの。「ベルヴィル・ランデブー」でもアニメながら登場人物の素晴しい
動きや流れるようなストーリーに魅了されたけれど、この実写の作品ではまさに宮崎アニメが
実写で動いてる!ような素晴しい出来だった。
ストーリーは孤独に暮らすパントマイマー(なんと「リトル・ブリテン」のポール!!←どこにでてる
人?)が結婚相手と出会うまで。パントマイマーだけに、彼が飼う猫も駐禁をきられた車も
カフェで飲むコーヒーもぜんぶパントマイム。彼の後ろにはいつも大きなエッフェル塔が見えて
いるのがにくい。たった5分だけど「アメリ」を超えたかも!幸福感にあふれたすばらしい作品です。
アレクサンダー・ペイン 「14区」
「アバウト・シュミット」の監督アレクサンダー・ペインによる作品がこの映画のトリ。
中年のアメリカ人観光客が、「ちょっとした冒険」でパリに一人旅にやってくる。きままに街を歩
いて、フランス語で会話に挑戦してみたりしていい気分(思いっきり英語で返されたけど)。アバ
ンチュールを期待する年でもないし、私は自立した女だけどモンパルナスタワーの上で素敵
な景色を見たときに、「きれいな景色ね」と言う人が隣にいないのはちょっと寂しいなと思ったり
する。彼女は水色のダサいポロシャツとおなかの肉がのっかったウエストポーチ姿で公園の
ベンチに座って、サンドイッチを食べながら突然こころに変化が起こる、、
と、これだ!!!これこそが旅ですよ!!と絶叫!そして号泣!!一人旅した人ならきっと誰でもこん
な経験があるはずだ。
このおばちゃん(ミリオンダラーベイビーで意地悪なおかあさんだった人?)がすごくダサイ姿で
石畳の街を楚々とおさんぽする姿に自分がだぶる。これはすべてのひとり旅ナイーブ派のには
ぜひ見ていただきたい作品だ。
<ここから悪口です>
日本代表、諏訪監督の作品はジュリエット・ビノシュが主演。
冒頭から「ママ、カウボーイはいるんだよ、、」と「息子を亡くした母という設定を伝えたい台詞」
をビノシュが一人でつぶやいているのがおしつけがましくてうざい。
パリの気候とは大違いの、かなり湿度の高い作品だ。
クライマックスだという「パリの街にカウボーイが現れる」というシーンも、引いているのでカウ
ボーイなんだか全然わからない。てっきり警官だと思った。馬に
乗った警官はもちろんぜんぜん珍しくない。
ビノシュがもうすっかりマダムになられてしまったこともあり、たくあん味のフランスパンみたい
な作品だった。直後のアサイヤスを見て、「さすがフランス人をぜいたくに使っているな、、」
みたいな。なんかすごいフランスコンプレックスに満ちあふれてた気がするんですよね。
これは単独作も不安です(大きなお世話)。
クリストファー・ドイルの監督作はボケ老人もしくは寺山修司のくるってないやつみたいな妄想
系だったのでだまって撮影だけしていてくれないかと思った。
<ここまで悪口です>
ほかの作品も、アラブ系の女の子との恋や、虐げられるアフリカ系移民の悲しみなど、観光の
街だけでなくパリの社会的な側面が描かれるいい作品もあります。「モーターサイクル・ダイア
リー」のウォルター・サレスの労働者の女の子の話もよかった。
18作品もあるので、映画の流れをつくるのはすごく大変だったと思う。編集も見事だった。
これを見た後、思い出されるのはヒッサと行ったパリあちらこちら、、やはり未曾有のパリ行きた
い病にかかってしまいました。愛しい街、パリ!
パリ行きたい病につける薬は、やっぱりパリに行くしかありません!おまえはわたしをくるわせる!
パリはやはり永遠のファムファタルなのです。
☆4つ〜2.5つまで
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「パリ、ジュテーム」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
オリヴィエ・アサイヤスなど名だたる監督たちがパリを舞台に一人5分で
「愛」をテーマにした作品を撮るという超豪華なオムニバス!
それぞれのストーリー等はこちらに詳しく載っています
なかでもわたしのお気に入りは次の4作品。
ガス・ヴァン・サント「マレ地区」
最近なにを撮ってもすごいガス・ヴァン・サントはやっぱりすごかった。
パリでもっともゲイが多いというマレ地区のギャラリーに来たアメリカ人の通訳がギャラリーで
働く男の子をひたすら口説いている。相手の男の子はすごく無口でミステリアス。ますます
ヒートアップした通訳の子は電話番号を渡して帰るけど、通じているんだかいないんだか、、。
「ラストデイズ」でも描かれた、人と人とのコミュニケーションが断絶されている感じ、とんでも
なく美しいカメラワーク、鮮烈なラストシーンでこれまたしぬほどいい作品!!ガス・ヴァン・サン
トはやっぱりスゲー!!
ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン「チュイルリー」
コーエン兄弟も見事としかいいようがない。
メトロのチュイルリー駅に座るアメリカ人観光客のスティーブ・ブシェミ。ホームの向かいで
チューチューしてる熱いカップルと目が合ったばっかりにトラブルに巻き込まれる。ずぶずぶと
理不尽な状況に巻き込まれ系というのはコーエン兄弟の最も得意とするところだと個人的に思
うのだが、それを5分でやってのけるのが凄い。
シルヴァン・ショメ 「エッフェル塔」
監督初の実写によるもの。「ベルヴィル・ランデブー」でもアニメながら登場人物の素晴しい
動きや流れるようなストーリーに魅了されたけれど、この実写の作品ではまさに宮崎アニメが
実写で動いてる!ような素晴しい出来だった。
ストーリーは孤独に暮らすパントマイマー(なんと「リトル・ブリテン」のポール!!←どこにでてる
人?)が結婚相手と出会うまで。パントマイマーだけに、彼が飼う猫も駐禁をきられた車も
カフェで飲むコーヒーもぜんぶパントマイム。彼の後ろにはいつも大きなエッフェル塔が見えて
いるのがにくい。たった5分だけど「アメリ」を超えたかも!幸福感にあふれたすばらしい作品です。
アレクサンダー・ペイン 「14区」
「アバウト・シュミット」の監督アレクサンダー・ペインによる作品がこの映画のトリ。
中年のアメリカ人観光客が、「ちょっとした冒険」でパリに一人旅にやってくる。きままに街を歩
いて、フランス語で会話に挑戦してみたりしていい気分(思いっきり英語で返されたけど)。アバ
ンチュールを期待する年でもないし、私は自立した女だけどモンパルナスタワーの上で素敵
な景色を見たときに、「きれいな景色ね」と言う人が隣にいないのはちょっと寂しいなと思ったり
する。彼女は水色のダサいポロシャツとおなかの肉がのっかったウエストポーチ姿で公園の
ベンチに座って、サンドイッチを食べながら突然こころに変化が起こる、、
と、これだ!!!これこそが旅ですよ!!と絶叫!そして号泣!!一人旅した人ならきっと誰でもこん
な経験があるはずだ。
このおばちゃん(ミリオンダラーベイビーで意地悪なおかあさんだった人?)がすごくダサイ姿で
石畳の街を楚々とおさんぽする姿に自分がだぶる。これはすべてのひとり旅ナイーブ派のには
ぜひ見ていただきたい作品だ。
<ここから悪口です>
日本代表、諏訪監督の作品はジュリエット・ビノシュが主演。
冒頭から「ママ、カウボーイはいるんだよ、、」と「息子を亡くした母という設定を伝えたい台詞」
をビノシュが一人でつぶやいているのがおしつけがましくてうざい。
パリの気候とは大違いの、かなり湿度の高い作品だ。
クライマックスだという「パリの街にカウボーイが現れる」というシーンも、引いているのでカウ
ボーイなんだか全然わからない。てっきり警官だと思った。馬に
乗った警官はもちろんぜんぜん珍しくない。
ビノシュがもうすっかりマダムになられてしまったこともあり、たくあん味のフランスパンみたい
な作品だった。直後のアサイヤスを見て、「さすがフランス人をぜいたくに使っているな、、」
みたいな。なんかすごいフランスコンプレックスに満ちあふれてた気がするんですよね。
これは単独作も不安です(大きなお世話)。
クリストファー・ドイルの監督作はボケ老人もしくは寺山修司のくるってないやつみたいな妄想
系だったのでだまって撮影だけしていてくれないかと思った。
<ここまで悪口です>
ほかの作品も、アラブ系の女の子との恋や、虐げられるアフリカ系移民の悲しみなど、観光の
街だけでなくパリの社会的な側面が描かれるいい作品もあります。「モーターサイクル・ダイア
リー」のウォルター・サレスの労働者の女の子の話もよかった。
18作品もあるので、映画の流れをつくるのはすごく大変だったと思う。編集も見事だった。
これを見た後、思い出されるのはヒッサと行ったパリあちらこちら、、やはり未曾有のパリ行きた
い病にかかってしまいました。愛しい街、パリ!
パリ行きたい病につける薬は、やっぱりパリに行くしかありません!おまえはわたしをくるわせる!
パリはやはり永遠のファムファタルなのです。
☆4つ〜2.5つまで
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by angrofille
| 2007-03-11 22:29
| 映画